かつてエスペリア大陸で最も繫栄した都市であったブライト王国の王都サバンナ、このサバンナは、カタストロフが破滅の深淵から解き放たれた際の最初の目標であった。 戦火を浴びた都市は満身創痍となり、その崩れ落ちた瓦礫の下で家を失った人々が身を隠し、騎士たちの救援を待ち望んでいた。 |
エスペリア大陸で気候や地形がここよりも不思議な場所はない。 水は下から上へと流れ、止むことなく火山が噴火する。 照りつける強い日差しは瞬時に雷鳴へと変わり、数十メートル先では豪雪が降り注ぐ。 この地へ足を踏み入れるということは、常に死と隣り合わせであるということを意味する。 かつてこの場所が自然豊かな森林であったことなど、今は誰も知らない。 |
数千年前、生命を司る神・デューラは、生命の素と魔法で創り出した生物を守るため、ここユグドラシルを創り上げた。 デューラは森の外側に魔法の結界を張り、この可憐な生物たちが平和の日々を送れるよう外の世界と隔離させた。 ヴェルディア連盟の者たちはデューラを強く信仰し、たとえカタストロフが再臨したとしてもユグドラシルだけは災いから逃れられると信じている。 |
本来墓というのは気味が悪く寒気がする場所であるが、ここの墓は空気でさえ緑色に光り、生命力で溢れ返っている。 ここはユグドラシルでも最も神聖な場所で、ヴェルディアが永眠する場所でもある。 カタストロフの勢力が蔓延っているなかでも、ここだけは依然として清らかな浄土であった。 しかし現在、ここにも危機が訪れようとしている。 この浄土も、いずれは元素の泉の光と共に消えていく運命なのかもしれない… |
数千年前、タスタン砂漠でどれだけの旅人が命を落としたことか計り知れない。 それでも旅人の探求への歩みを止めることはできなかった。 オアシス神殿は旅人なら誰もが夢見る楽園で、ただ砂漠の中でひっそりと佇んで、運命の英雄を待ち続けている。 噂によると、砂嵐の中から神々しい歌声が混ざっていると言うが、最も敬虔な者にしか聞こえないという。 |
ここはタスタン砂漠とエスペリア極地の間にある荒野で、ババリア部族が代々暮らしている。 ユグドラシルの温厚で善良な住人たちと違って、ババリア部族の者たちは非常に好戦的で、鍛錬のためあえて悪環境な場所を選んで住んでいる。 彼らは自らを安穏から遠ざけるため、住んでいる場所の名を正式名で呼ばず、いずれも溶岩、焦土、砂の街などの代名詞で呼んでいる。 |
エスペリア極地の山麓にあるドワーフの砦はかつて肥沃な土地であった。 ここに住んでいたドワーフたちは蒸気機関と黒火薬に精通していて、長年の高熱によって極地の氷を溶かし河川へと変えていた。 しかしカタストロフの力によって山々が切り裂かれ、一夜の間に蒸気機関が凍らされてしまった。 ドワーフの王はやむを得ず、他のドワーフたちを連れブライト王国の王都へと亡命したが、人間との暮らしを嫌うドワーフたちは未だここで厳しくも生き残っている。 |
数千年前、ここバンティスはかつて王都であった場所で、今のブライト王国の王都よりも繁栄していたという。 当時の国王トーランは賢明な君主であったが、弟の裏切りに遭い悲惨な最期を遂げた。 その後、復讐を誓った忠実な腹心によって、憎しみに満ちたグレイヴボーンとして蘇った。 賢明だった君主の面影は既になく、殺戮とネクロマンサーによってバンティスは地獄へと変わり、殺された人々はゾンビ兵として永遠にこの世をさまよい続けることとなった。 |
かつてエスペリア大陸で最も繁栄した商業の中枢。 今ではグレイヴボーンに支配されており、もはや生きた人間の気配がしない。 ボロボロになった布や壊れた木の建物からは腐った悪臭がし、亡霊の不気味な声と肌を刺すような冷たい風が共に響き渡って聞こえる。 |
恐怖海峡の南部に位置し、エスペリア大陸西の最果てにある島。 島の外側は激流に囲まれ、数え切れないほどの船の残骸が散らばっている。 死の島には古びた民家が複数建っており、いずれも歴史に埋もれた空き家であるが、意外ときれいに保たれている。 何者かがこれらの家を維持しているように思われる。 |
悪名高き沼で、悪環境な場所であることから誰も近づかない。 ここの水はあらゆる生物を腐蝕し、体だけでなく精神をもボロボロにする。 だが誰も近づかないため、狂人や罪人たちにとってはむしろ格好の場所になっている。 |
ここは原初の神・ホーナスが消滅した場所であると言われている。 ここでホーナスの肉体が土地に、骨と血が岩と川に、そして髪が高くそびえる樹木となった。 ここは世界の全ての原点であり、同時に終点でもある。 後に死を司る神と生命を司る神の信徒たちがここに集まって、その神々の母神を祀り、祠や祭壇を建てた。 しかし神々が消えると同時に、信徒たちも信仰を失ってここを捨て去って行った。 |
鉱洞への入り口は遠古の遺跡のさらに奥にある。 長い年月の間遺棄されたままだったが、鋼鉄製の蒸気炉や、整備された坑道と石壁に残った黒火薬の跡からドワーフの文明が読み取れる。 この鉱洞は不思議な太古の原石を発掘するために掘られたという。 それは無限のエネルギーを秘めた宝石であり、ホーナスの砕けた心であると言われている。 |
エスペリア大陸の最南端にある「世界の果て」。 冷たい西南の季節風が遠くより船を無理やり運んできて、多くの船乗りたちをこの島に永遠に留めさせた。 英雄や大海賊たちが船に積まれた宝物を求めてやってきて、持ち帰ったという伝説が伝わっているが、本当のことかどうかは誰にも分からない。 |
ここは一年中氷雪に覆われている無人エリアであるが、よく奇妙な音が微かに聞こえる。 荒れ地の奥に進むと生命を司る神・デューラのトーテムが刻まれている謎の遺跡があり、これまでに何人もの探検家が奥を探ろうと試みたが、いつも青い光が現れてはすぐに気絶してしまい、気がつくと遺跡の入り口に押し返されていた。 これまでまだ誰も中に入ったものはおらず、その謎は依然として解かれていない。 |
森林と雪原の境目に晶岩鉱脈が広がっている。 晶岩は非常に硬い素材で、とても優れた武器を作ることができるため、様々な勢力が競って手に入れようとした。 しかし貪欲と嫉妬はカタストロフを生み、戦争によって養分を与えることとなり、雪の密林は瞬時にカタストロフに侵入された。 辛うじてカタストロフから逃れた各陣営は一時休戦し、外で機会を窺いながら再び晶岩雪林へ戻ってくることを待ち望んでいる。 |
ここはエスペリア大陸の領地ではなく、遥か東海にある島で、ここの住民たちはこの地を「桃源郷」と呼んでいる。 島には様々な種族が分担作業しながら共存している。 亜人は農耕や戦闘を担当し、ドワーフと人間は工業や製造の役割を担い、数千年に渡って共に平和に暮らしてきた。 |
試練の宮殿に入れた者は皆、デューラに認められた英雄であり、彼らがこの宮殿にやってきた瞬間、天井に彼らの名前が浮かび上がる。 試練の道は極めて険しく、生きてここを出られた英雄は未だ一人もいないという。 |
神は凡人とは異なり、身体が消滅しても精神が残り、神々の世界で永遠に生きていくことができる。 しかし神々にも感情や欲望があることはあまり知られていない。 身体を失った神は凡人同様に負の感情に陥りやすくなり、カタストロフに隙を与えてしまう。 細長い空中回廊では聖殿からの美しい歌声が聞こえる。 ただその歌声は、時に優しく時に不気味になり、不安感を煽る。 |
破滅の深淵はあらゆる嫉妬、貪欲、憎悪、恐怖の根源であり、カタストロフが生まれてくる場所である。 地の底にはとてつもなく強い力が秘められており、周りにある物体全てを吸い込んでは中心から噴き出す。 ここでは空気でさえ悪意に満ちており、遠くに立っているだけでも意識が怒りと嫉妬に呑み込まれてしまう。 |
かつて激しいドラゴン狩りが繰り広げられていた場所。 数日の死闘の末、ドラゴンハンターたちはようやくドラゴンを狩ることに成功した。 その時にドラゴンの傷口から灼熱の血が噴き出て、あらゆるものを溶かしてしまうマグマとなり、地表を溶かして底なしの深い谷を作ったと言われている。 まるで瀕死状態だったドラゴンが今でも怒り狂っているかのように、常に息もできないほどの高熱を放っている。 |
底が見えない深い谷の奥には豊富な鉱脈が隠れている。 ドワーフ開拓者たちは、この鉱脈から工業原料を無限に手に入れていた。 採掘のためドワーフたちはここに大きな採掘場を建設したが、ここの地形はとても複雑で至るところに危険が満ちている。 |
蒸気工房はドワーフ開拓者たちの生産力の象徴である。 成熟した重工業の生産ラインでは、精密な機械や武器が延々と造られている。 ドワーフたちはマグマの熱エネルギーを工房に取り込んで金属を溶かし、工業製造のエネルギーとして利用した。 しかし効率的な生産力は同時に深刻な工業汚染をもたらし、工房の周りはいつも煙と金属の臭いで満ちている。 |
本来は休火山であったが、ドワーフの過度な採掘によって地質構造が大きく変わってしまい、極めて不安定な状態となり、まるで起こされて怒り狂った獣のようにマグマを激しく噴火する。 ここでは息をするだけでも火傷するほど暑く、近づけば肌が溶けてしまうかのように痛みが走る。 |
この難攻不落の要塞はドワーフ開拓者たちの最高傑作である。 高くそびえる城壁は鋼鉄のように硬く、その上に設置された大砲が威圧感を与える。 どんな攻城兵器でもこの要塞の前では言うに足りない。 要塞内には選りすぐりの防衛部隊が駐留しており、侵入者は一歩も足を踏み入れることができない。 |
ここはかつて肥沃な土地であったが、無情な戦火を経て満身創痍の焦土へと変わり果てた。 ドワーフ開拓者と先住民の戦いは数ヶ月も続き、最終的にドワーフ開拓者の自慢だった蒸気技術は原始的な先住民の怒りの前に敗れ去った。 この戦いで、プライドが高く全てを征服する自信を持っていたドワーフ開拓者は初めて失敗を味わうこととなった。 戦火が鎮まった今でも、戦争の傷跡は永遠にこの土地に刻まれ、未だに回復されずにいる。 |
新大陸中部の原始密林の奥に、邪神を信奉する原始的な野蛮人たちが暮らしている。 森の至るところに集落があり、彼らは身の毛もよだつ恐ろしい風習を持つ。 よそ者に対して激しい敵意を持っており、無闇に集落へ足を踏み入れた者は、血祭りに上げられて来た。 |
高くそびえ立つ山の頂にそびえ立つ、いつ建てられたのかも不明な祭壇。 不思議な魔法のルーンストーンに囲まれており、一見無造作に並んでいるように見えるが、実はとある禁断魔法に則って配置されている。 伝説では古代の祭司たちはこれを使い、この世の者でない未知の存在をこの世へと降臨させていたという。 この禁断の魔法は現在では失われており、どのようにして使うのかを知るものはいない。 ある意味、無知なる凡人にとってこれは幸いなことなのかもしれない。 |
広大な原始密林の奥にこれほど立派な神殿が建っているとは誰も想像できないだろう。 先住民に伝わる伝説によると、この神殿は神に匹敵するほどの高等な知能を持つ生物を祀るためのものであると言われている。 しかし高等生物がこの世から姿を消してから、神殿は次第に荒れ果てていき、今では誰にも知られない遺跡となってしまった。 ちなみに、その伝説の最後にはその高等生物はいつかこの地に舞い戻ってくるだろう、と言う予言が残されている。 |
ここはかつてドワーフ開拓者が新大陸に到着した時の前哨地で、彼らはここで完全な港施設を作り、数年にわたる開拓と発掘を始めた。 しかし、その過程で彼らはここに隠されていた未知なる力を解き放ってしまった。 その力は多くのドワーフ開拓者たちをパニックに陥れ、彼らはやむを得ずこの土地から離れ、新たな土地を探した。 今ここには港と船の残骸しか残っていないが、ここの不思議な伝説は好奇心旺盛な冒険者を呼び集めている。 |
この瘴気に満ち溢れた埋骨の地は、とある古代文明が建てた墓地で、ここの亡霊たちは誰にも邪魔されず、数世紀もの間長い眠りについていた。 だがフォールンキング・トーランが遥か彼方の海を越えてグレイヴボーンの大群を率いて、この新大陸へと勢力を拡張させていき、ネクロマンサーでこの墓地をまるごと包んだのだった。 この地に埋葬されていた死体や骨はいずれも復活させられ、グレイヴボーンの一員にさせられ、ここは身の毛もよだつ恐怖の地へと変わり果ててしまったのだった。 |
新大陸特有の位置と特殊な気候がこの奇異な菌類がたくさん生息している湿地を作った。 巨大なきのこが森となって、いろんな生命を育んでいる。 こういう環境だからこそ、警戒を緩めると危険な目に遭う。 湿地に潜んでいる猛獣たち、森の空気に漂っている毒の胞子、ドロドロな地面に隠れている天然の罠など、知らないところで命を奪うようなものが数えきれないくらいに存在している。 |
暴走する魔法の乱流が崩れた瓦礫の間を満たし、捻じ曲げられたエネルギーの波動が裂けた大地から溢れ出る。 太古の時代、この土地は自然に恵まれ、魔法エネルギーも地脈の中に満たされており、現在のように裂け、砕かれているわけではなかった。 しかし歴史にも記録されていない古の文明がここに魔法施設を建て、大地の下から魔力を組み上げた。 その後天外より強大な生物がこの大陸に降り立ち、それを防ぐため、人々は大地の下にある全ての魔法エネルギーを解き放ち、その生物を深海の底に封印した。 そして魔法エネルギーを全て放ち尽くした大地は今のように荒れ果てた姿になったのである。 |
わずかに残された文献によると、この新大陸の古城はボナペラと呼ばれ、現地の原住民たちの言葉では、この古城は沈んだ地と呼ばれている。 この古城の歴史ははるか昔の太古時代にまでさかのぼることができ、これは歴史上では絶滅した文明の築き上げた産物である。 この文明はかつては栄えており、神にさえも対抗できる魔法の力を身に着けていた。 しかし神よりも強大な存在が深海の底より目覚め、巨大な触手を伸ばし、邪悪な力で大陸を切り裂き、その時この古城も海に沈んでいった。 |
この大陸がまだ海の底にあった時、この海域は「死のトライアングル」と呼ばれ、船たちはここを通ると深海の下にある不思議な力の影響で、謎の失踪をとげた。 失踪した船がどこに行ったのか、これまで誰も知らなかった。 やがて大陸が海の上に浮き上がると、失踪した船たちもついに人々の目に姿をあらわした。 この沈んだ船たちの墓場には無数の財宝が眠っており、この呪われた土地とともに、これら財宝も不吉の代名詞として知られるようになった。 |
ここの土地には巨大なドラゴンの骨が横たわっている。 これは太古の昔、空を自由に羽ばたいていた天空の覇者だったドラゴンの骨。 しかしその後、強大な外来生物がエスペリアに降り立ち、ドラゴンはそれと激戦を繰り広げるが、最後は相手に両翼を切られ、大地に落ちてしまい、それからこの大陸と共に海に沈んでしまった。 この大陸が再び人々の目の前に姿を現した時、かつてのドラゴンはすでに骸となっており、あの戦いの激しさを物語っていた。 |
この深淵の奥にある太古の遺跡には一体どのような古代の文明が存在するのか誰も知らない。だが1つだけ確かなことは、これらの建物は決して現存するエスペリアの文明によるものではないということだ。 なぜならこれらの存在は常理をはるかに逸しているからだ。 ここの構造は逆さになっていたり、入り乱れていたりしており、ここに入ってしまった人間は進む方向を迷い、この深淵の空間に響く不気味な音の影響を受け、精神が錯乱し発狂してしまうという。 この大陸が深海の底から浮かび上がって以来、この遺跡の深部にたどり着いたものはまだ誰もいない。 遺跡の下には深い霧が立ちこめられ、そこには怪しい影たちがうっすらと映っているのだと言われている。 |
深海の更に下には底なしの深淵があり、そこに何が潜んでいるか誰も知らない。 不気味な触手が深淵の底から這い出てあちこちを探る。 深淵の上には古代の生き物と思われる生物の彫像が立っており、冷たく不気味な気配を漂わせている。 深淵の底ではよく低い唸り声がこだまし、それはうわ言のようにも聞こえ、その不気味さを増している。 その声は聞く者の心を震わせ、内心深くまで入り込み、その心を狂わせる。 |
まるでウジ虫のようにくねくねと入り組んだ道の先には沈黙と扉が佇んでいる。 この扉の形をどういう形に形容すればいいか、適切な言葉が見つからない。 まるで禍々しい世界の暗闇というべきか、悲痛の叫び声が充満している夢境。 これくらいしか言い表せる言葉が見つからない。 だがそれでもこの扉のはっきりとした輪郭を掴むことはできない。 扉の両側にあるねばねばした黒い水の中から絶えず気泡が浮き上がり不気味な赤い液体が気泡を破って中から這い出てくる。 正体不明の肢体が扉の前に積み上げられ、血生臭い匂いが鼻を刺激する。 まるで失われた歴史に欺かれているかのようだ。 ドン! ドン! ドン! 今まで生きながらえてきた太古の悪夢たちが扉を叩いた。 狂気の時代がまもなくやって来ようとしている… |
深海の奥深くで眠っている碑石の城は、静かにあの狂乱の歴史を物語った。 悪夢は歴史の渦の最深部に埋もれ、捻れた信仰は暗黒の彼方より降臨する! 深淵の奥で聞こえるうめき声は無形の触手となって脳の中に浸透し、やがて発狂させる。 野蛮な文明はこうして着実に底の見えない狂気の沼へと引き込まれた。 やがて神々が雷霆の狭間から狂気の根源を討伐にやってきた。 長年の戦いの末、狂気の根源はついに絶えた。 そして今は瓦礫とともに碑石の城だけが残され、主の到来をただ静かに待ち続けている。 |
時間の汚泥が虚空に沈み、狂気の源へと続く階段となる。 狂乱の地は終焉に近づき、狂人たちの叫び声と太古の神々のつぶやきは突然止んだ。 悪夢の触手が現実を捻じ曲げ、光も音も生命も、そして時間さえも消滅させ、ただ破れた空間だけがかすかに震え、永遠の恐怖の中でまどろんでいる。 階段には終わりが無く、誰もが直面しようとしない未来へと続く。 眠っていた太古の神々が両目を開き、殺された世界が静寂の中で生まれ変わろうとしている。 |
亜空間の階段が突然崩れ、現実世界はそれにより滅亡した。 古の神は光の届かない海で眠り、ハトール大陸の最も闇に包まれている秘密が今明かされようとしている。 まだ歴史に定義されていない時代、狂熱の源は深い海で眠りにつき、ねじれた手下たちも沈黙した。 しかし狂熱の意志は眠りにつくことは無く、古の神の意識に潜み、暴乱の夢境を静かに育んできた。 今、これらの意志は夢境の壁を突き破り、不吉な触手となって現れた。 古の神の夢境はまもなく崩れ落ち、無数の人間たちの夢境世界が混沌の深くから姿を現わそうとしている。 |
終点を乗り越え、英雄たちはエスペリアの夢の世界に足を踏み入れる。 始まりの地、ドリームキーパーが最も好きな場所ーー ここには色んな味のする飴があり、まるで夢の世界のようだ。 ここにはエスペリアの食いしん坊な子どもたちの夢がいっぱい詰まっている。 世界まるごと巨大なチョコレートケーキで、色とりどりのキャンディーがまるでお花畑のようにケーキの上に咲き誇る。 巨大な棒付きキャンデイーが山のように積まれたクリームの上に立っており、草むらにそびえている大木のようである。 いくつものココアの山を越えると、チョコレートで敷かれた道が現れ、夢境の中核、キャンディーハウスにたどり着く。 |
もし真夜中に草むらを歩いていて、花と草からザーザーと音が聞こえたと思ったら、それは植物が眠っている時のいびき声であった。 植物も呼吸をし、夢を見る。 そしてここはエスペリアにある全植物の夢の世界なのである。 夢の形態は願望と関係していることが多く、植物の願望は、無限の彼方まで広がる奇跡の森になることである。 森の中にそびえ立つ花木は、その根が複雑に絡み合い、どんなにダメージを受けても、強く生き延び続ける。 まだ枯れていない葉っぱや、咲いている花が1つでも存在する限り、「奇跡の森」は決して枯れることはない。 |
「王子様とお姫様が幾多の困難を乗り越えて一緒になり、壮大なお城で幸せに暮らす……」童話によく出てくるシーンで、人々がこの美しい夢の世界に憧れを持つとき、至福の城は夢の世界に姿を現わす。 城の中では時間が流れるという概念は無く、ここには苦痛も憎しみも存在せず、人々は人生で最も美しい時を過ごし、花束と夢が詰め込まれた中で、世界の温もりを感じるのである。 |
城に入ると、奇妙なアートギャラリーを目にすることができる。 ここにはエスペリア世界の生き物たちのアートに対する独特な見方が集結されている。 寝る前のちょっとした時間の間、この間は誰もがアーティストである。 夜の静けさが訪れると、昼間には封じ込められていた奇想天外なアイデアが次々と浮かんでくる。 壮大かつ繊細で、不思議な魅力を醸し出している。 彫刻、絵画、名前のつけようもない形のものまで……さまざまな作品がどんどん生まれてくる。 ここには、優れた鑑識家はない。 ただ、すべての作品の一つ一つが貴重である。 |
ここは期待を込めた旅人たちにやすらぎを与える場所。 現実と疲弊に圧迫され、前に進むしかない。 まだ若いが旅へのあこがれを持っている。 夢の中で彼らはみなこの静かな場所へやってくる。 足元には紫、青、黄色…色鮮やかな夢と希望が虹色の道になっている。 そして虹色の道の先には美しい庭園があり、やってくる者たちを暖かく迎えている。 |
恋に憧れる女の子は、誰もがこんなシーンを夢見たことがあるのではないだろうか? 暖かいお城、明るい日差し、華やかな舞踏会、そして花とワインに囲まれて恋する人とのダンス。 ここはエスペリアにある全ての恋への憧れが実現し、グラスには永遠に乾くことのないワインで満たされている場所。 今なら好きなだけここに留まり、舞踏会に居続けることができる。 ここは夢の終着駅、ここを離れるなら、馬車に乗り込み、未知の世界へ旅立つことになる。 |
水晶舞踏会を離れ、悪夢の領土へと足を踏み入れた。 悪夢に侵食されてしまっているこの地は、謎の力によってあらゆるもの全てが歪曲されていた。 その不気味でおかしな光景を目にしただけで、頭がおかしくなってしまいそうだ。 ここに取り残されているおもちゃに、一体何が起きたのかは誰にも分からない。 ただ傷だらけでボロボロの体だけが、静かに捨てられた痛みを訴えているかのようである。 これらのおもちゃも、かつては誰かにぬくもりを与え、誰かの涙を受け止めていたのであろう。 だが、今となってはただ薄暗い隅で、ここを通り過ぎる人たちを静かに注視し、機会を伺ってはその人達の生き血を吸い、体温を奪い去ろうとしている。 |
どんな童話の中にも安全で温かい小屋があるように、人は誰もが、幼い頃に親から寝る前に聞かされた物語の記憶があり、それは未知の闇夜から自分を守ってくれる避難所になっている。 しかしその避難所を離れた時、あなたは世界の真の姿に気づくだろう。 無邪気な心を蝕む真実、偽りのハッピーエンド、あなたは無限に広がる暗い森の中を手探りで進む。 そして曲がりくねった危険な道の先にはとある屋敷が静かにあなたを待っている。 あなたが必死に道を切り開いて進む中、暇を持て余したカラスたちは暗闇の中で密かに賭け事をする。 果たしてあなたはあの幽闇の屋敷にたどり着き、闇夜を引き裂くのだろうか……それとも受け入れるのか、と。 |
死に対して不安や恐れを抱くほど、死の影が付きまとう。 たとえ夢の中の旅であっても、気の遠くなるくらい長い旅路の中で、人はいつまで理性を保っていられるだろうか? 邪悪なルーンが植えられ、悪の種がこの地で芽生えた。 ここは恐怖と残虐の狩猟場、絶望のドン底である。 無惨に散らばる塚は搾取し尽くされた精神であり、汚れた土から掻き出された骨は、犠牲者の最後の足掻きである。 目的地に着くと、邪悪なルーンは棺の蓋の下で不気味にうごめき、夢を見る人の理性と希望を踏みにじる。 真の勇士のみが棺の蓋を開け、この悪夢の如き最終試練を始めることができるのだ。 |
どこからか、不気味なマーチが聞こえてくる。 その音は耳から頭に入り、脳を蝕む。 ボロボロでグロテスクな切符売り人形は、よからぬ心で古いチケットを今も売っている。 黄昏の荒涼とした山の谷間に、無数の悪夢が集まる。 死のサーカスは、まさに人々が見る恐ろしい夢を具現化したものである。 朽ち果てた露店には、泥水ではない、何かの汚れがついている。 噛みちぎられた猛獣使いの鞭の横に、靴が散らばっている。 豪華なテントの中には、歓声が響いていたのだろうか。 玉投げのピエロ、瓶の中の怪人、彼らはどこにいるのだろうか。 もしかしたら、彼らは今も近くにいて、次に観客が来るのを待っているのかもしれない。 彼らの得意なビックリショーを、再び人に見せるために。 |
目では物事の外見を容易に見ることができるが、その本質を見抜くことはできない。 いつの時代にも、それぞれの分野で旅をしながら、実験し、考え、結論をまとめ上げようとする学者は数え切れないほどいた。 しかし、真理は一部の賢者にしか掴めないことが多く、ほとんどの人はこの冷たく無秩序な世界を読み解くことができずに一生を終えてしまうのだ。 この絶望的な虚無は、古今東西の学者たちにとって最悪の悪夢であった。 これらの悪夢は夢の大陸に集結し、絶望の城となった。 彼らの研究成果は乱雑に積まれ、苦心して成した論証は滑稽な粗大ゴミと化してしまった。 この崩壊した城の上空で、学者たちの願望と執念は、彼らが決して到達できない真実への魔法の扉として具現化されている。 |
鏡を見つめると、鏡に映る自分も見つめ返してくる。 目をそらしたら、鏡の中の人の動きが分からなくなる。 もしかすると、もう一人の自分は、ずっとこちらを見ているのかもしれない。 無数の鏡に囲まれ、無数の自分に見つめられた時、あなたは誰が鏡の中にいるのか、誰が鏡の外なのか、判断できるのだろうか? 鏡の迷宮は、無限に続く悪夢のように、一人一人の人間の内側に対する恐怖を映し出す。 この迷いの欠片で出来た空間から抜け出すには、真実の自分を見つけ出し、しっかり向き合うしかないのかもしれない。 |
道端に残された紙切れ: 「…俺は昆虫と蜘蛛が非常に苦手だ。旅の途中で名前の知らない怪虫や、蜘蛛の巣などに遭遇するたびに、立ち竦んで冷や汗がドバドバ出てくる。そんな時にはいつも、『何をビビってる。奴らはこんなにもちっぽけな無害な存在ではないか』と、自分に言い聞かせるようにしている。だが今、俺は一体何と対峙しているんだ? 無数にある巨大で半透明な虫卵の中で、異形な姿をしたおぞましい何かが脈動している。天を覆い隠し、綿のように入り組む糸がこの禍々しい空間の至る所に張り巡らされている。最深部では、巨大な虫卵はすでに破裂した。流れ出る悪臭漂う腐敗液はじきに山を伝って、谷中に溢れ返るだろう。ほら、聞いてみろ。暗闇から囁きが聞こえてくる。どうやって俺を食いちぎるか話し合っているに違いない。奴らの恐ろしい姿を目にしたら、俺はきっと全身が震え上がって足がすくみ、無様に奴らの餌食となるだろう。危険に満ちたこの大陸で幾度となく窮地を乗り越えてきたが、今目の前にあるこの悪夢だけは、俺にゃどうにもできねぇ…」 |
もし幸運にも、北の旧航路の先に待ち構える、吹き荒ぶ嵐と猛り狂う荒波をかいくぐり、この流された大陸に辿り着くことができれば、まず目に入るものは、海岸にそびえ立つ未完成なままの巨大な帆船だろう。 一説によると、戦争によって避難を余儀なくされた人間や亜人、そして遭難した商船や奴隷船の生存者の一部がこの隔絶された大陸に流れ着いていたらしい。 ソトロン大陸に戻る手立てとしてなのか、それとも広大な世界を探索するためなのか、住み着いた者はこの海岸で造船を始め、最も良質な素材でキールとマストを作ったところまで作業が進んだ。 しかし今や野心満々の船大工の姿はどこにもなく、未完成の大船がぽつんとドックに残されただけだった。 |
帰巣本能を持つ渡り鳥のように、異郷の地に流れ着いた翼の亜人たちも、故郷へ帰ることを心から望んでいる。 千年の時の中で羽ばたく力を失くしても、翼の亜人たちは空を目指す。 彼らは機械で大きな翼を作り出し、失敗と墜落を繰り返しながら、青空を自由に渡る夢を実現しようとした。 しかし、全ての財産を使い果たし、部族が崩壊寸前になっても、亜人たちは故郷へ戻れなかった。 瓦礫の中に残る未完成の航空機器は、もう空へと旅立つことはない。 |
文明のともし火が異郷なる大陸に落ち、この街は荒れた大地から始まった。 大陸に流れ着いた人々は小さな村を築き、少しずつ今日の強固な城壁を持つ賑やかな街へと作り上げた。 そして、その地を「リバティ市場」と呼んだ。 人口が増えるにつれ、街の発展に対する人々の考えも分岐点を迎えた。 どんなことをしてでも、海の向こうに広がる文明世界に戻るべきだと言う者もいれば、今いる新たな土地で秩序ある帝国を築くべきだと言う者もいる。 意見の食い違いにより人々は団結力を失い、住民は少しずつ疑心暗鬼になっていく。 そうして、徐々に派閥を分ける壁が街の中に築かれ、「リバティ市場」が誇る巨大な市場は冷え切り、繁栄も失われていった。 |
荒れ野の市場から大陸の奥深くに歩みを進めようとする者は、例外なく「ジメジメとした薄暗い森には近づくな」と忠告を受けるだろう。 勇敢にもその地に足を踏み入れた冒険者のうち、無事に戻って来られる者は極めて少ない。 サーパントの道には、旧大陸に住まう者が見たこともないような生物が住み着いている。 複雑な階段状の滝に覆われている大地には、常に獲物を狙っている野獣と、危険極まりない植物を注意しなくてはならない。 絡み合う名も知れぬ蔓植物たちが滑りやすい小道を作り出し、青々と生い茂る緑の中、遥か彼方にある古樹の扉へと繋がる偽りの幻想を作り出す。 そんな植物で出来た迷宮に足を踏み入れたが最後、ちょっとした不注意ですら命取りとなってしまう。 森に飲み込まれた冒険者は、やがてこの森の養分と化すだろう。 |
遠い昔、カタストロフの力によって極地の山々が引き裂かれた後、エスペリアの世界に散らばったドワーフは決して新しい故郷を築く希望を捨てたりしなかった。 サーパントの道を下った先にある、河口にぽつんと立つタマリエン遺跡こそが、ドワーフがかつて新しい土地を開拓しようとした証である。 この土地は浄土などではない。 ドワーフはそれをよく理解している。 彼らは昼夜問わず山を掘って岩を削り、脅威が訪れるまで河口で強固な要塞を築こうとした。 しかしそんな努力も虚しく、厄災と壊滅は彼らの予想よりも早く訪れ、未完成の要塞は孤立無援の流れ者を守り切れるはずもなかった。 今やその未完成の遺跡はカタストロフ崇拝の旗をくまなくさされ、その邪悪な新しい所有者を堂々とアピールするオブジェと化していた。 |
長い砂利の海岸の後ろに聳え立つ崖壁は、ずっと漂流大陸の奥地に入るための最大の障害と見なされてきた。 しかし、時が流れ、今ここには翼の亜人たちが作った石窟と桟道が並んでいる。 大陸の向こうにいる親戚達とは違って、ここに住みついている翼の亜人は、自分の血脈にある古くて残酷な才能を捨てることはなく、崖壁を改造して作った家に慣れるため、全ての亜人少年は、成人した当日に崖の頂上に登り、同族とデューラ神殿が見守る中、翼を広げて飛び降り、失敗者は生贄として冷酷な怒涛に捧げられ、生き残った者のみが集団の一員として受け入れられる。 彼らはこの熱帯の海崖で自給自足の生活をし、遭難した船の残骸を集め、天険の上に庇護所を作り、秘かに俗世間から離れて漁猟生活を送っている。 |
自身の目で見なければ、にわかには信じられないだろう。 流された大陸の核心は、大陸が切り離されたときに、形成された巨大な死火山であった。 その火山は赤々とした高原を、まるで天罰であるかのようにその口に抱え、雨風、そして外のものから守っていたようだ。 原住民たちは純白の岩塩を用い、この「父山」と呼ばれる強固な土地に居を構えた。 彼らの信仰する残酷なる神はすでに崩御し、自身はもう、忘れられた狩場に残った末裔の一つでしかない。 退路のない狩場の中で、この恐ろしい兄弟は「狩人」と「獲物」を演じ続けているのだ。 |
かつて世界中に燃え広がっていた神々の戦火は、人間の国に少しだけ飛び散るだけで、壊滅的な結果をもたらした。 エスペリアの神々は、大軍を連れてハトール大陸に攻め込み、別の世界の古い神々と死闘を繰り広げた。 遠征軍のほとんどは戦いの中で倒れ、群山の頂に戻ることはなかった。 漂流大陸は今、神々の戦いの頃よりさらに遠い場所へ移動している。 そこには、一柱の神が眠っている。 緑豊かな島と一体化している巨体は、実は神の本当の姿ではない。 刺々しい兜を被り、玉座に座り続ける死者こそ、巨神兵の主だ。 彼はかつて、栄光と勝利を掴み取るために、究極の代償を払った。 しかし今となっては、彼の偉業も、彼の名前も、この辺境の地に埋もれ、人々に忘れ去られている。 |
古来より、この諸島は聖獣・ジャイアントタートルの生まれた地であり、神が土地の人々の祈祷に応えて与えた楽園だった。 しかし、初めて楽園に邪悪の火が灯されたとき、この地に広がったのは慈悲深い神の庇護ではなく、邪教徒たちの暴虐の宴だった。 邪教徒たちは奇怪な讃美歌を歌い、肉切り包丁を振り上げてこの地を守る聖獣を汚した。 すべての対抗勢力は、強力な悪の力の侵攻と共に一瞬で崩壊し、かつて楽園だったこの地には無数の骸骨が好き勝手に打ち捨てられた。 島に点在する仕掛けやテントに気を付けよう。 かつてジャイアントタートルとその子孫たちを虐殺した邪教の祭壇で、今は訪れる者たちが永久の眠りにつく場所になろうとしている。 |
巨人の幕が下りる時、星の川も大地に降りてくる。 人々に忘れ去られた聖地、かつての先祖の庭の中に、巨大な岩が佇んでいる。 星々が一定の位置まで運行した時、星の光を帯びた水が、巨岩の上から流れ出す。 その水はやがて、地上の銀河を作り出す。 数年に一度流れるこの水に浸かれば、浮遊大陸から離れるヒントが分かる。 朝日が昇ると、巨岩はたちまち消えてしまう。これは試練の儀式なのか、それとも意図的に隠された秘密なのか? 人々はそれぞれの思惑を胸に探索を急ぐが、その目で孤独な巨岩の奇跡を見た者は皆、迷いと疑いを捨て、巨岩に心を囚われるという。 |
波に乗って、蟹足の帆船は出航する。 漂流大陸から離れる手掛かりを手に入れた人々は、未知の海域に向かう。 岩礁にぶつかる音が聞こえた時、霧が晴れ、数百、数千の蟹足の帆船の残骸が現れた。 希望を追い求める人々を待ち構えるのは、新たなる絶望だった。 曲がりくねった航路の両側に見えるのは、帆船の残骸の山。 大陸から離れようとした原住民たちは皆、ここで邪教信者たちに襲われ、夢半ばに散っていったのだろう。 ここで起きた悲劇を知ることはもうできない。 もしかしたら、自分たちの船も、残骸の山に葬られるかもしれない。人々は、迫り来る邪教信者の魔の手に恐れ戦くのであった… |
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