フロストバンシー【悪夢の回廊】

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スキル

スキル1:フローズンホールド

氷の力を解放して敵2体に多段ダメージを与え、さらに重複する減速効果を付与する。
この効果は前列の敵を優先する。
そして、アイスノヴァを起こして全ての敵にダメージを与え、HPが50%以下の敵を凍結させる。

スキル2:ブリザード

天候を「吹雪」に変える。
期間中、敵はHPを回復できず、一定時間ごとにダメージを受ける。
再度このスキルを使用すると、天候の効果が強化され、与ダメージとノックバック効果がUPする。
 

スキル3:フローズンバリア

スキル「ブリザード」を発動するたびに、自身にすべての物理ダメージを防ぐことが出来る氷のアーマーを付与する(18秒持続)。

ストーリー

シェミーラは、とある冬をよく思い出すようになっていた。

当時ーー

ダイモンはまだ2歳になったばかり。よちよち歩きで、見るものすべてに対して好奇心旺盛だった。

「しょうがない子ね」

そう言いながらも、シェミーラは母親として喜びに浸っていたのだ。ただ少し残念なことは、ダイモンが生まれて間もなく、夫のニルの出征が決まり、家族みんなで一緒に過ごす時間が大幅に減ってしまったことだった。そしてこの冬、ニルは帰って来なかった。

出征後、ニルは軍医となったため、ほとんど家に帰ることができなかった。いつ戦争が終わるかわからないこの日常に、シェミーラは日々焦りを感じていた。子どもの成長というのは早いもの。彼女は息子がぐんぐんと成長するこの大事な数年間、ニルにも一緒に見守ってほしかった。それに、ダイモンには父親の教育で育ってほしいと願っていたのだ。

だが無情にもブライト王国は緊迫した状況だった。グレイヴボーンの侵略は、いまだ終わりを告げない。生きとし生けるものとアンデッドは戦いを繰り広げている。軍医は兵士のように最前線には配置されないものの、シェミーラは無事を祈っていた。

ニルがいない日々を、シェミーラは育児のかたわら、父が経営する仕立屋で手伝いをしていた。彼女の裁縫の腕は抜群で、街の貴婦人たちは彼女を指名して服を作ってもらうことが多かった。その年は初雪が例年よりも早く、間もなくして本格的な冬が到来する。冬になると裁縫の仕事はあまりなく、シェミーラはダイモンと一緒に裏庭でよく雪遊びをしていた。初めて雪を見たダイモンは、雪だるまを作ってみたり、寝転んでみたりと大はしゃぎだった。楽しそうにしているダイモンを見て、シェミーラは心温まる思いでいっぱいだった。だが……同時に不安でもあった。

この違和感をシェミーラは今でも忘れることはないと言う。

本格的な冬も終わりが近づいてきた頃ーー

ニルが突然家に帰ってきた。短い間の帰省ではあったものの、久しぶりの一家団欒にシェミーラはこの上ない喜びを感じていた。しかし、現実は彼女を奈落の底に突き落とす。帰ってきたニルは、まるで別人のように性格が変わっていたのだ。息子のダイモンに目もくれず、メスを片手にぼんやりしていたり、わけのわからない言葉を呟いたりしていた。

「私は戦場でグレイヴボーンたちを見た。兵士たちがあれは死者だと言っていたが、私にはわかる。奴らは死んでなどいない。ただ別の形で生きているだけだ。そう、苦しみという形でな……」

ニルの表情は、狂気で満ち溢れているようだった。

雪が吹き荒れる山脈の向こう側には死者の骨が集められた墓場がある。そこから聞こえてくるのは不気味な風の音。そのはずだが、まるで死者の叫び声のように聞こえるのだったーー

「……っ!」

冷たく柔らかい何かが腐乱した頬に当たり、過去に思いを馳せていたシェミーラがはっとする。それが雪だということはわかっていたが、彼女はそれを視認できる目をもう持っていない。雪の形も、ダイモンの姿も……彼女は生前の記憶を呼び起こすことでしか見ることができない。だが、温かい思い出ばかりではない。つらく苦しい記憶のほうがより多く刻まれている。

ニルの極刑、ダイモンの死……

「死者には苦しみがないとニルが言っていた。でも……わたしはどうして苦しみを感じるの?」

吹き荒れる雪に向かって、シェミーラは両手をいっぱいに広げると、墓場で彷徨う怨霊たちが彼女に集まり周囲を回り始めた。これらの怨霊たちはシェミーラの魂と共鳴している。彼女の心の奥にある悲しい記憶に共感するかのように唸っていたからだ。その様子はまるで大雪の中、悲しみの挽歌を歌っているようだった。

気づけば……空から舞い降りる雪と彼女の周りを回る怨霊の姿が、白く輝く『衣装』に変わっていたのだったーー

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