呼称 | ・風語りの旅人 ・大自然の叡智の愛弟子 ・内心不安な野うさぎ |
種族 | ヴェルディア亜人 |
年齢 | 19歳 |
身長 | 175㎝(耳込みで195㎝) |
趣味 | 新しい物事の発見 |
好きなもの | ・面白い物 ・新しい物 ・友達を作ること |
嫌いなもの | 退屈な生活 |
故郷 | ユグドラシル |
現在地 | 世界を巡り回っている |
現在の身分 | 風語りの旅人 |
関連人物 | 【姉】 【恩師】 【友人】 【旅仲間】 |
CV | 平本雄 |
誕生月 | 5月 |
※「HP・攻撃力・防御力」は上限が存在しないため記載しません。
※()内はPVPでのステータス
クリティカル率 | 71.39(81.39) |
命中 | 0 |
回避 | 902.35 |
魔法効力 | 0 |
魔法抑制 | 0 |
速度 | 105.2 |
自動回復 | 0 |
魔法耐性 | 53.54 |
物理耐性 | 22.63 |
吸収力 | 0 |
クリティカル増幅 | 19.16 |
クリティカル耐性 | 17.6 |
洞察 | 0 |
根性 | 3.5 |
治療効果 | 0 |
治癒 | 11.09 |
攻撃速度 | 0 |
クリティカル回避率 | 4.3 |
防御貫通 | 0 |
魔法貫通 | 9.11 |
熟知 | 0 |
受け流し | 0 |
腐食 | 11.67 |
緩和 | 0 |
ダメージ耐性 | 0 |
シールド効果 | 4.8 |
SP回復効率 | 0 |
Lv.1 | 敵が密集しているエリアにどんどん大きくなっていく竜巻を起こし、範囲内の敵に複数回ダメージを与え、最大サイズになると爆発して攻撃力×200%のダメージを与える。 |
Lv.2 | 最後の爆発後、範囲内の敵のSPが50%減少。 |
Lv.3 | 最後の爆発のダメージが攻撃力×250%に増加。 |
Lv.1 | 弱点がマークされていない敵を優先的に攻撃し、攻撃力×170%のダメージを与え、戦闘終了まで弱点をマークする。 味方が必殺技を発動すると、4秒の間弱点をマークされた敵へのダメージが250%増加する。 |
Lv.2 | ダメージが攻撃力×220%に増加。 |
Lv.3 | 味方が必殺技を発動し、その味方が4秒内に弱点をマークされた敵にダメージを与えると、1.5秒間スタンさせる。 |
Lv.4 | ダメージが攻撃力×270%に増加。 |
Lv.1 | 戦闘開始時に、最も近い敵と最も遠い敵を繋ぎ、どちらかがダメージを受けると、もう片方の敵もそのダメージの80%を受けるようになる。 このダメージはHP流失と見なされる。 |
Lv.2 | どちらかが撃破されると、もう片方の敵は5秒の間スタンする。 |
Lv.3 | もう片方の敵が受けるダメージが120%に増加。 |
Lv.4 | ※解放には刻印レベル30が必要 どちらかが撃破されると、もう片方の敵は7秒の間スタンする。 |
Lv.1 | ランダムで味方二人に7秒の間、攻撃力×250%のダメージを吸収するシールドを付与する。 前列の味方に優先してシールドを付与する。 |
Lv.2 | シールドが存在している間は、ターゲットの回避が90増加、ターゲットがヴェルディア連盟の英雄の場合、シールドの耐久度がさらに20%増加。 |
Lv.3 | シールドの耐久度が攻撃力×300%に増加。 |
Lv.4 | ※解放には刻印レベル60が必要 シールドの耐久度が攻撃力×350%に増加。 |
初期 | 風繋ぎによってチェイン状態の敵が片方死亡時、本戦闘中自身の速度が20増加。 |
+10 | 風繋ぎによってチェイン状態の敵が片方死亡時、本戦闘中自身の速度が40増加。 |
+20 | 風繋ぎによってチェイン状態の敵が片方死亡時、5秒間全ダメージを無効化。 |
+30 | 風繋ぎによってチェイン状態の敵が片方死亡時、本戦闘中自身の速度が60増加。 |
+40 | 風繋ぎによってチェイン状態の敵が片方死亡時、6秒間全ダメージを無効化。 |
3/9 | スキル「風の庇護」のシールドが破壊されても、シールドにより上昇した回避が継続し、この効果は本来のシールドの継続時間終了まで継続する。 |
9/9 | 戦闘開始後から2回目まで使用した「風の庇護」は全ての味方に作用する。 |
【ゲーム内説明】 ヴェルディア連盟のメイジ英雄。 敵2体を鎖でつなぎお互いのダメージを引き受けさせる。 |
登場時 | 風と対話することは俺たち風語りにしかできません |
移動時 | 世界中の景色をこの目に焼きつけたいです |
通常攻撃 | エアショット! |
スキル1 | 弱点、見切りました! |
スキル2 | 絆を紡ぎましょう |
スキル3 | 風のご加護を! |
必殺技 | 狂風の試練を与えましょう |
勝利時 | 風の囁きに耳を傾けましょう |
神話時 | 風の囁きに耳を傾けましょう |
旅館 | 私はそよ風の音が好きだ。風は大自然の言葉を運んできてくれるから。それからみんなの喜怒哀楽もね。 |
※未実装
ヴェルディア連盟には、風があるところなら、どんなに離れていてもそこの情報が耳に入る『風術士』という存在がいる。『風術士』たちは森の外を一歩も出ることなく、この世界で起きている全てのことを熟知していたのだった……。クインもその一人ーー
ヴェルディア連盟は数千年の時をユグドラシルとともにしている。世俗との関係を断ち、外界への行き来もしないため、多くのヴェルディア連盟の人は、外のことについて何も知らない……と世界中の者から思われている。だが、実際は外の世界のことを手にとるように熟知しているのだった。なぜならーー
これらの情報はヴェルディア連盟にある、『ディオーンの語り部』という特殊な情報機関から来ていた。この組織を構成しているのは『風術士』と呼ばれるヴェルディア連盟の魔道士たちだ。彼らは自然魔法に精通していて、生まれながら自然との親和力を持っていた。風に吹かれる草木を見れば、森の機微に触れることができるのだ。そして、風の音を聞いて遠くの声も聞き取ることができるのだった。『ディオーンの語り部』は、その能力で知り得た情報をヴェルディア連盟の人々に伝えていた。
クインもこうした能力を持つ『風術士』だ。大自然の叡智の長であるアルドンにその能力を評価され、幼い頃から弟子として修行をしていた。
クインには、おてんば娘のキャットという仲の良い幼なじみがいた。好奇心旺盛なキャットは、大人たちの目を盗んでこっそり森の外に出かけていっては、外の世界のことをクインに話してくれた。クインはキャットの話を聞いている時が一番幸せだった。キャットの話は、クインが風から感じ取れない事だらけで、そのような場所に行って遊んでみたいといつも密かに思っていたのだった。キャットはクインの気持ちを見抜いているようで……。
「クインの心の中にも、きっと外の世界を冒険したがる子猫ちゃんがいるニャ!」
いたずらっ子のように笑うキャットに、クインは困ったように笑顔を浮かべるだけだった……。
しかし、連盟の人たちとアルドンの期待を裏切る事はできず、外の世界に行くことは一度もなかった。クインはこの事を一度も口にしなかったが、アルドンはとっくに彼の気持ちをわかっていた。
だからこそ、彼にこう伝えたのだ。
「優秀な『風術士』は風の声を聴くだけでなく、自分の心の声にも耳を傾けなくてはならん」
「お前もそろそろ、自分の心と向き合わんとのう」
「世界にはユグドラシルにはない知恵がまだまだ無数に潜んでいるのじゃぞ」
はっきりは言っていないが、クインに外の世界を体験してくるようアルドンは指示していた。その言葉を受け、クインはついに外の世界へ旅立つことを決意する。お別れの手紙を残し、アルドンが用意してくれた翡翠の杖を手にして……。
クインは森を離れ、夢に見ていた外の世界の冒険へ出発したのだったーー
ロワンの日記
王都を離れてしばらく経つけど、思った以上に厳しい。
王都でのボクは『レグニッツの息子ロワン』でブライト王国では富の代名詞と言っても過言じゃなかった。ミスリル商会の入り口には、金塊を持っている人が毎日立ってる。そこに犬をつないでおくだけでも金を稼ぐことができるんだ。
でも、ボクがしたいのは一から商売すること。商品を仕入れるためにはお金が必要だけど、商売相手にはボクの家柄じゃなくて、ボクとの信用を築きあげたいんだ。商品を選んでるあいだは強盗対策もしなくちゃいけないし……考えることがいっぱいで疲れちゃった。家に帰りたい。
……ダメダメ! 父さんだって初めはこういう苦労をいっぱいしたけど乗り越えてきたって言ってた。ボクにだってきっとできるはず!
ボクには仲間がいる。この小さな鳥だ。コイツの卵で一儲けしたもんさ。いけないことだとはもちろんわかってるよ。だってこの子はオスだからね。ボクはただの卵に色を塗って売ってるだけ。だけど、詐欺だとは思ってないよ。だって、世の中には金の卵の伝説を信じて探し求めてる商人たちが数え切れないほどいるんだ。そう……ボクは彼らに夢を売ってるんだ。
しばらくしてから、ボクは2人の仲間に出会った。リグビーとクインだ。
リグビーはあてにしちゃいけない。毎日酔っ払って帰ってくるし、物忘れが激しいからね! なんども酔っ払ったリグビーを叱ったさ。だけどリグビーは役に立つよ。ガタイがよく喧嘩も強いんだ。ボクが商売してる時に隣にいてもらうんだけど、誰も文句言ってこないんだ。最近はクインが止めてくれているおかげで、ずいぶんと飲む量が減ってきたしさ。
クインを仲間にできたのは本当に偶然なんだ。出会ったきっかけは、クインが町でお金を巻き上げられ、路頭に迷っていたからなんだ。でもクインは自分を嵌めた相手に怒りを向ける様子もなく、落ち込んでる様子でもなかった。楽天的な思想からなんだろうね。浮浪者だけど全然浮浪者っぽくなかったよ。
人が持つ夢とか、感情とか文化って『商品』としては売れるもの。だけど、クインの持つ独特な感情は、今までにない物語を作れる。つまり、クインは第二の金の卵を産むものになれるんだ。
だけど、これはまだまだ先の話……。今はまず、この街に住むエベニーザーという人物を探してるんだ。過去に父が商戦でボロボロにやられ、財産をほぼ全部持って行かれたらしい。なぜ「らしい」かって?父はこの事については硬く口を閉ざしているし、別にエベニーザーに当時の話を聞くつもりもない。
ボクはただエベニーザーに勝ち、父より優れている事を証明したいだけ!
リグビーの手紙
オレの可愛い娘ドリーへ
お前にはしばらく手紙を出していなかったな。
わかってるだろ?
オレの手はジョッキや拳を握るのは得意だが、筆を握るには得意じゃないんだ。字を書きだしたら指が……つ、つり……なんだっけ?指がつ……なんとかって言葉、ど忘れしちまったぞ。
そんなことより、聞いてくれ。最近、あんまり酒を飲んでねぇんだ。いや、どっちかってぇと、飲ませてくれねぇほうが正しいか?だからこの手紙を書いてる今は、けっこう頭がスッキリしてる。
今のうちにあのことを書いておかなきゃな。お前、レグニッツの息子のロワン、知ってるだろ?あの生意気なチビ助だ。酔った勢いでオレは今アイツと一緒に旅をしている。なんつーか、その場のノリってやつだ。だが、なんだかんだロワンと一緒に旅するのは楽しいんだぜ。アイツは大胆で、いつも奇妙で奇抜なアイデアを出してくる。旅を面白くしてくれるんだ。だがな、あのチビにもどうしようもねぇ悪い癖があってな。人の話をぜんぜん聞かねぇんだ。それに短期で気に入らないことがあると、すぐ爆発しちまう。ロワンがオレのことを部下として見ているのか、友人として見ているのかはよくわからねぇ。
それでも今のところは、まあまあうまくやってる。だが、最近ロワンの様子がちょっとおかしい。なんとかっていう商人を血眼になって探してるんだ。ぜってぇ負けねぇとか言ってたっけな。だけど、オレにはロワンが誰かと戦うってより、自分と戦ってるように見えるんだよ。酒場でもこういうのはよく見かけるから、匂いだけでもわかっちまうんだ。
ああ、忘れちゃならねぇ。一緒に旅している仲間にもうひとり、クインっていうヴェルディア連盟のウサギがいるんだが、とにかく厄介なヤツだ。性格は他人思いで優しくて申し分ない。良く言えば親切なんだが、悪く言えば面倒くせぇ男なんだ。
毎朝、瞑想してんのは別にいい。材料をとってきて朝食作ってくれんのもいい。「軽い食事が先生の長生きの秘訣なんだ」とか言って、二日酔いでなんも食いたくねぇのにいつも食事を強制してくるのは勘弁だ。しかも、二日酔いは体に悪いとか言って、オレに酒を飲ませないようにしてくるんだぜ?
こんな面倒くせぇことして長生きするくらいなら、好きなことして二日酔いで早死にしたほうがマシだぜ! 本当はぶん殴ってやりたいとこだが、純真無垢な目で見られると殴る気が起こらねぇ。
まあ冗談だ。オレは早死にするつもりはねぇぞ。だから真に受けるな。今日はここまでだ。来年、時間のある時にまた手紙を出す。
お前の親父よりーー
クインの手紙
親友キャットへ
前回の手紙からだいぶ時間が経ってしまって、申し訳ありません。俺は風を使ってメッセージを伝えることに慣れているので、人間の使う紙とペンにまだ不慣れなんです。
今、俺は2人の仲間と旅をしています。そのうちの1人はリグビーという名前です。リグビーさんはとても面白い人なんですよ。だらしない人で、1ヶ月も風呂に入らず、いつも酔っ払っていて酒臭い部屋で寝てばかり。でも、リグビーさんはすごく前向きで、いつも幸せそうで、熱心で……何事にも楽しさを見出すことができるんです。生活習慣は悪いですが、ある意味、自由人なのではないでしょうか。
もう1人の仲間であるロワンさんはすごい生い立ちでした。ミスリル商会の会長レグニッツの次男として、お父上の商才を完璧に受け継いだだけでなく、長い間それに携わったことで、外見からは想像できないほど大胆な決断力を持っているんです。これまで俺が出会った中で一番賢く、常識に囚われない考えの持ち主だと思います。ですが、この生まれ育った環境がロワンさんに大きなプレッシャーを与えているのではないかと思っているのです。ロワンさんは、自分の能力や成果が家柄とは関係なく、自分自身の努力から生まれたものであることを証明しようと努力しています。それはとても良いことのはずなのに、最近あまり良い方向には進んでいないように感じているのです。
この2人とはいつも楽しく旅をしているんですが……疑問が重なって、怒りを覚えるような出来事がありました。
ことの発端は、エベニーザーという商人を調査している時でした。彼がいる町ではニンニクのような根菜類を主な農作物としています。この野菜は皮がもろく、収穫時に少しでも傷がつくと、すべてがダメになってしまうんです。なので、地元の人たちはスプーンのような木製の農具を使って収穫をしています。この農具の製造と販売がエベニーザーの仕事でした。
だけど、なぜか急に、頭脳明晰なロワンさんがエベニーザーのことを気にしだして、商戦を始めたんです。
彼に怒りを覚えたのはここからで……商戦の対象になっているのは、その町でしか使えない農具でした。上で書いている、スプーンのような木製の農具のことです。この町の人たちにとっては、生活する上で必要なものだ。それを争いの対象にするだなんて……。2人は農具を独占するために値下げを始めました。価値を下げるということは、2人の収入も減るでしょう? だから彼らは町の人たちの賃金も下げたんです。
そこからはもう、ずっと悪循環です。賃金が下がった町の人たちはやる気を失い、農具の品質も下がっていきました。農家の人たちはすぐに農具を替えられるように、以前の3倍も買い置きをしなければならなくなったんです。それと同時に、作物の収穫量にも影響が出ました。ひどい状況でしょう……?
ロワンさんとエベニーザーが町をめちゃくちゃにして2ヶ月近く経った頃には、農家の人たちも疲れ果てていました。2人は商戦に夢中になってて、みんなが消耗しきってることに気づいていません。
今のロワンさんはどうかしています。商人としての誇りを完全になくしている。まあ……少し前も、そんなに良い人ってわけではなかったけど……今のように町の人たちを苦しめるようなことは決してしませんでした。
俺の我慢もそろそろ限界かもしれません。リグビーさんも不機嫌そうにしていました。俺たちは明日、ロワンさんに話をして、ここから離れようと思います。
君の友人クインよりーー
リグビーの手紙
オレの可愛い娘ドリーへ
前に手紙を出してからあまり時間は経ってねぇが……このことだけはお前に話しておかねぇと、腹の虫が治まらねぇんだ。
今日、オレはクインとロワンと大喧嘩した。あのウサギ野郎、怒り出すとあんなに怖ぇなんて思わなかったぜ。チビ助もチビ助だ。ぜんぜん譲る気もねぇし、口答えばっかりしやがる。ま、そんなこんなで、ここで3人とも別れることにしたんだ。
だがオレとクインが出発する前、オレたちが泊まっていた宿にまさかの人物がやってきやがった。ロワンのライバルのエベニーザーだ。そいつ、なんて言ったかわかるか?ロワンに降参しに来たって言ったんだぜ?
エベニーザーは敗北を認めたんだ。こんな消耗戦は耐えられねぇ、全財産をロワンに安値で売るから、この苦痛から解放されたいってな。だが、それだけだ。コイツは自分のことしか考えてなかった。2人の商戦に巻き込まれて2ヶ月もこき使われた町のヤツらのことなんてなんも考えちゃいねぇ。行くアテもない町の人たち、どうしましょう? とか、ぬかしやがったんだ。
その場でヤツの首をへし折ってやろうかと思ったぜ。
エベニーザーはヘラヘラ笑いやがった。コイツ、普段も気に食わねぇ顔しているが、笑う顔はもっと気に食わねぇ。エベニーザーは、ロワンのことを昔会ったことのある商人にすげぇ似てるけど、そいつよりもずっと強かったと言ってきた。その時の商人は、農具の価格を下げたあと、町の人たちの賃金が減ることに耐えられず、すぐこの町を離れて行ったらしい。
その話を聞いたロワンは、突然エベニーザーの襟元をつかんで、狂ったように大声で叫んだんだ。「なんだと!? その商人にいったい何をしたんだ!!!?」つかまれた襟を振りほどかれたロワンは、その場に倒れ込んで、ブツブツなんか言い始めた。「ボクは勝ったの? それとも負けたの?」
それから数時間、ロワンはずっとこの言葉を繰り返し、何を言っても全く反応しなかった。なにかに取り憑かれてるんじゃないかと、オレは神父を呼んで祓ってもらおうとしたが、その時、ロワンは起き上がり、オレとクインに真剣に謝った。仕事を失ったこの町の労働者たちに新しい仕事を見つけてあげるのを手伝ってくれってな。
オレは感動したぜぇ。このチビ助、きっと熱で頭がやられたんだ。そういえば最近、酒場の経営はどうなんだ? この町の労働者たちを雇ってあげることはできそうか?
お前の親父よりーー
ロワンの手紙
父さんへ
やあ、父さん。突然の手紙だけど、別にたいしたことじゃないよ。エベニーザーってヤツのこと覚えてる?数十年前に父さんを窮地に追い込んだ人。
ボクそいつとの商戦に勝ったんだ!
詳しく話すと長くなるから簡単に説明するよ。もし、手紙の中に見覚えのない名前があったり、理解できない内容があったりしても気にしないでね!
実はさ、ボクも最初は父さんと同じようなことをしちゃったんだ。だけど、いろいろあって……気づいたんだよ。父さんとエベニーザーの考えは古いってね! 確かに、あのスプーン型の農具は、作物を収穫するために作られたもの。だけど、どういう理由で発明されて、最終的にどういう使われ方をしたのかっていう問いに対する答えは、無限にあると思わない? あれはスプーンの形をした農具であると同時に、ユニークな形状をした髪飾りにもなるんだよ!
ボクの言っている意味、わかる? 簡単なことだよ。ストーリーを付ければいいんだ。ボクは、クインが不老不死の修行者で、亡くなった恋人に再会するために、毎日このユニークな形の髪飾りを作ってるっていう物語を作ってみたんだ。そうするとさ……髪飾りが数倍の値段で飛ぶように売れたんだよ。どうしてだかわかる? ボクが売ってるのは、夢なんだ。人々は愛に渇望してる。だから、こういう背景がある商品はどんどん売れるんだよ! ボクはまたひとつ、金の卵を産む鳥を創り上げることができたんだ!
ボクは今この髪飾りで仕事を失った労働者たちを養っている。この物語の噂が世界に広まれば、いつかは町全体が潤うと思う。これも全部、ボクの仲間のおかげだよ。彼らが物語の核となる素材と、それを広めるための手段を提供してくれたんだ。もちろん企画して実際に商売したボクの役割が一番大きいけどね!
父さんがエベニーザーと出会ったのは何歳の時なの? 父さんはその時、ほかの方法を見つけることができたの? ボクはもうしばらくこの町にいるつもりだから、早く返事ちょーだいね。
それから……父さんはボクがこれまで知っていた父さんよりもずっと強い人なんだなって思ったよ。
ロワンより
執事の手紙
ロワン坊ちゃまへ
レグニッツ様は少し前、王国の財務大臣と密談中にロイヤル守備隊の裏切り者によって殺害されてしまいました。しかしこのことには様々な疑問点があるため、私が独自で秘密裏に調査をしています。王都は今安全ではありませんので、決してここにはお戻りにならないでください。どうかお気をつけて!
執事よりーー
クインは天才だった。幼い頃から周りの大人にそう言い聞かされて成長した。天に選ばれし子、その代償として彼は早くも姉と離れ離れになり、終わらない訓練の中で生活してきた。誰もが彼を風語りの指導者になれると期待を寄せた。
キャットは彼が風語りとして選ばれた後、よく会いに来てくれる唯一の仲間だった。この落ち着きのない子猫が、外の世界への憧れを抱かせるきっかけとなった。クインはユグドラシルを出て外の世界を旅したいと思っていた。しかしアルドンを始め、姉やヴェルディアの民たちはみんな彼に期待を寄せており、彼らの期待を裏切ってユグドラシルを出ることはクインにはできなかった。しかしその後、クインはこの期待が彼を束縛しているわけでは無いことに気づいた。みんなは彼が優れた風語りになることを期待すると同時に、彼が自分らしく生きていくことを望んでいた。師の励ましと姉の支持、そして親友の理解があり、クインはついに旅立ちを決意し、ユグドラシルを離れた。風語りの使命を背負い、クインは心の旅を始めることになった。
彼に会ったことがある人は少ないかもしれない。しかしエスペリアの各地で語られる風語りの伝説についてはきっと多くの人々が聞いたことがあるはずだ。
大自然の叡智‐アルドンがクインに贈った魔法の杖。
シンプルな枝に見えるが、大自然の生命力を秘めている。
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