短時間の詠唱によって術を施し、与ダメージが最も高い敵英雄2体に6秒間絡みつく。 絡みつかれた敵は行動不能になり、HPが持続的に流失する。 |
連続して5発の雷撃を発生させることで、配置された立ち位置の順序で敵英雄のHPを大きく流失させ、与ダメージを75%減少させる。 この効果はHPが最大値になるまで存在し続ける。 戦闘開始後直ちに発動する。 |
【パッシブ】 ナイトメアは行動阻害を受けず、10秒ごとにフォースフィールドを生成し、自身が受けるダメージを60%低下させる。 合計1回の行動阻害、減速効果が付与された時、フォースフィールドの効果が一時的に20%減少する。 |
「アルドン、このままじゃ心残りだろう? あと少しで研究が完成するというのに。犠牲を払えばいいじゃないか。そうすれば生きながらえる。お前の命を伸ばしてやろうか……?」
その声は何度もアルドンのそばで囁き、惑わす。アルドンにとって、魔法の力で自身を延命すること自体、なんら難しいことではないが、それには犠牲を伴う。それを知っているからこそ、延命措置を望まなかった。だが、アルドンの意志とは反対に、生命力がだんだんと失われていくにつれ、その声がはっきりと聞こえるようになってきたのだ。気づけばアルドンの悪夢だけにとどまらず、現実世界へと姿を現し始めたのだった……。
その日の夜ーー
アルドンは邪悪な影と自分の体の主導権をめぐり、激しい抗戦を繰り広げていた。森もこの争いに気づいたようで、いつもは静かなユグドラシルに雷鳴が轟き、雨風で荒れ狂っていた。そんな嵐の中、ネモラやクインたちがアルドンを案じてやってきたのだった。
「タシーから話は聞きました。先生、堪えてください……」
「きっと、なんとかしてみせる……」
アルドンの生徒たちは、心配そうに彼を見守る。いつもふざけ合っている彼らも、必死にアルドンのために方法を考えていた。
「わしは、大丈夫じゃ……」
邪悪な影は徐々にアルドンの精神を蝕んでいく。かろうじて声に出た言葉は弱々しく、ネモラたちの心を悲しませた。
アルドンはかつての自分の師を思い出していた。彼女もまた大自然の神秘の謎を解き明かす魔法に自分の人生をささげていたが、解明直前に死を迎えたのである。だが、師の表情は穏やかだった。
そして、満足したような微笑みと最後の遺言……
雄大な大自然に比べると、一生と言うのは取るに足らないちっぽけな存在。学問には限りがないが、生はいつか終わりが来る。だが、これらの知識を後世に残すことができれば、いつかはその謎を解き明かす日がやってくるだろう。
アルドンはこの遺言の意味を今、ようやく理解することができた。ついに答えを見つけたのだ。かつての師のように、限りある生命で、限りのない自然魔法を探求していた。ただそれだけのこと。
「そうじゃ、なにも悔いることなどない」
アルドンは平常心を取り戻した。
「愚か者め……! 命あるものはそのほとんどがなんの意味ももたらさない。だが貴様は違う! 意味のない命を吸い上げて、それを利用すれば、貴様の研究にもっと貢献できるだろう!? それを拒絶するとはなんとも愚かな……! もっと貴様の欲望をーー!?」
アルドンの頭に強く訴えかけるも、邪悪な影は一瞬怯んだ。
「チッ……」
その次の瞬間、影はアルドンの体から勢いよく抜け出した。その判断があとわずか遅れていたら、アルドンに吸収されるところだったのだ。そして、邪悪な影は、怨念の金切り声をあげながら森の奥深くへと逃げ去っていったのだった。
「アルドン、なのか?」
アルドンの懐かしい気配を感じた、森の樹木の精霊たちは、アルドンらしきものに語りかける。だが、その正体はアルドンから抜け出した邪悪な影だった。影は命あふれる森の精霊たちを前にして、不気味な笑みを浮かべている。
そしてーー
暗黒の根が無数に大地や木々に絡みつく。
影がだんだんと形作られ……生き生きとした若い生命力を渇望する、貪欲な悪魔ができあがった。
その名も、『アルドン』ーー
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